領収書の「上様」は、「うえさま」と読むのが一般的ですが、「かみさま」「じょうさま」と読む場合もあります。
由来は様々ですが、「上得意様」や「上客様」が省略された説や、古くから将軍や天皇の事を「上様」と呼ぶのに習った説などが有力です。
いずれも、直接名前を呼ばずに目上の人を表現する際に使われていた言葉で、現在の領収書でも目上の人を表す言葉として用いられています。
「上様」と記載された領収書は、宛名欄への記載が簡略化されているだけで、本来記載されるべき最終的な支払者の会社名や氏名が分かりません。
消費税法第30条9項1号では、領収書には「発行者」「取引日時」「取引内容」「金額」「書類の受取人」の5つの項目が必要だと記載があります。
「上様」の領収書は、ここでいう「書類の受取人」があいまいになってしまいます。
ただし、「小売業」「旅客運送業」「旅行業」「飲食業」「駐車場業」など、指定された事業の領収書では、例外的に「宛名」が無くても証憑書類として効力を発揮します。
つまり、これらの事業の場合に限っては、レジから印刷されるレシートも、領収書と同様の効力を発揮出来るという事になります。
既に「上様」と記載された領収書が手元にある場合には、不正行為を疑われないように訂正前の領収書を発行者に渡してから、宛名欄を正確に記載した領収書を再発行してもらう必要があります。