取引の正確な消費税額と消費税率の把握を目的として2023年10月に開始予定のインボイス制度ですが、なんとなく聞いた事はあるけれど詳しい内容は分からないという方も多いのではないでしょうか。
実は、現時点で多くの問題が指摘されており、制度のスタートを見直す声も挙がっています。
今回は、スタートする前に知っておきたい問題点についてご紹介します。
インボイス発行事業者に登録すると、個人情報が公開される
インボイス(適格請求書)発行事業者として登録した「申請者の氏名」は、インボイス発行事業者の「登録番号」「登録年月日」とともに、国税庁のホームページで公表されます。
法人ではない個人事業主の場合は、本名での登録が必要です。例えばペンネームで活動している作家も本名での登録が必須で、登録した内容は公表の対象です。
(データ検索時に紐付けに必要であれば、ペンネームや屋号などは任意で登録出来ます)
つまり、本名を明かさずに仕事をしていても、インボイス発行事業者として登録する際は本名を公表せざるを得ない状況になります。
事業者のデータは「一括ダウンロード」と「商用利用」が可能になっている
インボイス発行事業者として登録されたデータは、国税庁のホームページで簡単にダウンロード出来るようになっており、商用利用も認められています。
アクセス制限がかかっているわけでもなく、誰でも簡単に個人情報の取得が出来ます。
つまり、一般の人が「作家の〇〇さんの本名は××さんなんだ」「自宅兼事務所ってインタビューで話していたから、この住所に行けば会えるんだ」という情報を簡単に手に入れる事が出来てしまい、インターネットで拡散される可能性もあります。
さらに、ここで公表されているデータはインボイス発行事業者を辞めても7年間公表されたままになります。
ここまで挙げた内容だけでも、このまま制度をスタートさせるのは危険だと思われる方も少なくないでしょう。
個人事業主がインボイス制度から個人情報を守るために出来る事は、今のところ出来るだけ登録を引き延ばすという事だけです。
インボイス発行事業者の登録期限にはまだ時間がありますので、最新の状況をしっかりと把握して、納得してから登録するべきです。